バイノーラル立体音響は凄いが映画のサラウンドは再現出来ない「鹿島建設 OPSODIS1」(店頭デモ機)レビュー
クラウドファンディングで話題の立体音響スピーカー「鹿島建設 OPSODIS1」
ようやく視聴できましたので店頭デモ機のレビューです。ちなみに今、注文すると定価74,800円+クラウドファンディング手数料のところ、69,650円+クラウドファンディング手数料で 2025年8月以降の納期となります。
私はバーチャル立体音響系の技術には興味があって、いろいろ試しているのですが、たいていは謳い文句通りには鳴らないよね、という結果で終わります。
「鹿島建設 OPSODIS1」は鹿島建設が開発したOPSODIS立体音響技術を搭載し、2chステレオをバイノーラル立体音響化しスピーカーで再生します。バイノーラルはダミーヘッドという人間の頭を再現した模型の耳の鼓膜に当たる部分にマイクを置き、ステレオ収録し、ヘッドホン再生することで立体音響が得られるという技術です。
バイノーラル録音で使用する、ダミーヘッドマイクの例:
NEUMANN KU100 ダミーヘッド バイノーラルステレオマイク [国内正規品] ノイマン(amazonアソシエイト)
OPSODIS立体音響技術は、このバイノーラルをヘッドホンでは無く、スピーカーから再生することが特徴の技術で、完全な立体音響が得られます。
視聴場所ではiPadの下にOPSODIS1が設置され、デモ音源がいつでも再生できるようになっていました。が、それを無視して係員さんにお願いして自分のiPhoneをBluetooth接続させてもらい視聴しました。
聞いた感想ですが、バイノーラル再生という謳い文句通りに、2chステレオソースの音源がヘッドホンで聴いているような音場で立体音響で再生されます。これは凄い。ただ気になったのがバイノーラル変換でかなり細かい音まで聞こえるようになるのですが、その副作用か歌のボーカルが普段使っているスピーカーよりも痩せて聞こえます。悪い音質ではないのですが、聞いていて楽しい音質ではないですね。
出典:https://greenfunding.jp/lab/projects/8380
試聴して、一番頭を抱えてしまったのが映画関連の再生です。クラウドファンディングのウェブサイトには『家庭のリビングルームがまるで映画館のような臨場感溢れる空間に変わります』と書いてありますが、映画館の音場は全く再現されず、映画館とは全く異なるバイノーラル立体音響が再生されます。AppleTVで購入した映画何本かとCear pavéのレビューで使用したデモ用音源を再生したのですが、映画をヘッドホンで聴いているような音がスピーカーから再生されます。
一番困ったのが映画の音楽が前方(スクリーン位置)からなっているのでは無く、普通にヘッドホンで聴いている時のように耳のすぐ横で音楽が鳴っています。とても映画館の音響とは言えません。あと、左右のサラウンドスピーカーから鳴らないといけない音が、後ろに定位してしまっていて映画館と違うとツッコミを入れてしまいました。
ドルビーデジタル7.1chのスピーカーテスト。YouTubeをiPhoneで再生しているので音声ソースはopusステレオ2chなのですが、前方左右のスピーカーが所定の位置では無く耳の真横で再生されました。
試聴した感想をまとめると、ヘッドホンのバイノーラル立体音響がスピーカーから再生されるのは確かに凄いのですが、映画再生用としてはヘッドホンの音場で再生されるので、映画音響としては違和感がありまくり、映画再生用としてはオススメできません。映画再生用としてはOPSODIS1よりも安いCear pavéの方がサラウンド感は薄いですが違和感ない音場で好みです。仕様にないドルビーオーディオ(DOLBY AC-3・E-AC-3)に対応しろとは言いませんが、ファームウェアアップデートか何かで映画再生用モードを付けれるなら付けてほしいところです。
何でもヘッドホンの音場で立体音響化されるので、最初のうちは凄いと思っても、使い続けていると違和感を感じる人もいるかと思います。最近のiPhoneやiPad、一部のAndroidはドルビーアトモスが搭載されていますので、用途によってはヘッドホンで聴いた方が安上がりという場合もあります。ほとんどの人は「OPSODIS1」を試聴なしで購入していると思われますが、届いたらすぐに試聴して、自分の再生用途に向かないと思ったら、ヤフオクやメルカリで高く売れるうちに売った方が良いと思います。
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