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『ダンケルク』など70mmフィルムサイズ(2.20:1)のデジタル上映を映画館がスクリーンサイズ調整しないで額縁上映する問題

『ダンケルク』など70mmフィルムサイズ(2.20:1)のデジタル上映を映画館がスクリーンサイズ調整しないで額縁上映する問題について、映写技師でも何でも無い、ただの観客の映画館の素人がまとめました。
画像表示・引用の関係上スマートフォン表示には対応していませんので、お手数ですがPC表示で閲覧をお願いします。

私は英語が苦手ですので、翻訳サイトを駆使して調べましたので、誤りを発見したときは、大変お手数ですが面倒でもブログを書いて頂いて、トラックバックでお知らせ下さい。

日本における額縁上映問題の歴史


■2004年
立川シネマシティが日本でいち早く経費節約のためスクリーンマスクを廃止した新館シネマ・ツーを開業する。ビスタサイズの映画はシネスコスクリーンにピラーポックス上映となり左右に黒浮きが発生する見苦しい状態となる。ちなみにスクリーン左右にスピーカーを配置しているのは音響が良い映画館だというハッタリをかますためで、全く映画上映には関係ないことです。(音響が凄いIMAXシアターのスピーカーはスクリーン裏にあります、スクリーン外に出す理由は全くない)

■2012年頃から
TOHOシネマズ、ユナイテッドシネマなど大手シネコンチェーンがシネマシティの真似をして経費節約のためにスクリーンマスクを廃止する。
シネコンでスクリーンサイズ調整をやめた事に対する反応まとめ
シネコンでスクリーンサイズ調整をやめた事に対する反応まとめ(その2)
シネコンでスクリーンサイズ調整をやめた事に対する反応まとめ(その3)
シネコンでスクリーンサイズ調整をやめた事に対する反応まとめ(その4)
シネコンでスクリーンサイズ調整をやめた事に対する反応まとめ(その5)
TOHOシネマズでスクリーンサイズ調整をやめた事に対する反応まとめ(グランド・ブダペスト・ホテル編)
シネコンでスクリーンサイズ調整をやめた事に対する反応まとめ(その6)
シネコンでスクリーンサイズ調整をやめた事に対する反応まとめ(その7)





■2013年
午前十時の映画祭で『2001年宇宙の旅』が上映されるが、シネスコスクリーンへ額縁上映される


http://asa10.eiga.com/2012/bbs/fes/1340/ 6. またまた
名前:ラコステ 投稿日:2013/05/18 16:22:58
本日、TOHOシネマズ浜松で“2001年宇宙の旅”を鑑賞。また映像がスクリーンより一周り小さい状態。インターミッションの際、女性係員に聞いたところ、「古い作品は今の作品よりサイズが小さい」という回答。事務局に聞きたい!この回答は正解なのか?映画祭の質が落ちたのか、地方映画館の質が悪いのか?


『2001年宇宙の旅』は70mmフィルム撮影・上映を前提にした映画であり、70mmフィルムサイズ(2.20:1)の画角をデジタル上映でも高画質で再現すべく、デジタルマスター(DCP)はビスタサイズ(フラット)コンテナに70mmフィルムサイズ(2.20:1)をレターボックスで収録されていた。
映画館側のデジタル映写機の調整でシネスコスクリーンの上下幅いっぱいになるようにサイズ調整して上映するのが前提となっている。が、TOHOシネマズではサイズ調整しないで手抜き上映される。
ちなみに配給のワーナー・ブラザース(日本)の試写室ではシネスコスクリーンの上下幅いっぱいになるようにサイズ調整して上映されていた。


■2015年6月
映画『トゥモローランド』(画角2.20:1)がシネスコスクリーンへ額縁上映される


映画『トゥモローランド』はシネスコですがビスタサイズレターボックス収録で画面が小さい(togetter)


■2015年6月
映画『ジュラシック・ワールド』(画角2.00:1ユニビジョン)がシネスコスクリーンへ額縁上映される


映画『ジュラシック・ワールド』はユニビジョン・ビスタサイズレターボックス収録で画面が小さい(togetter)


■2017年
映画『20センチュリー・ウーマン』(画角2.00:1ユニビジョン)、『カフェ・ソサエティ』(画角2.00:1ユニビジョン)がシネスコスクリーンへ額縁上映される


■2017年9月
映画『ダンケルク』(画角2.20:1)がほとんどのシネコンでシネスコスクリーンへ額縁上映される


映画『ダンケルク』はシネスコですが通常デジタル上映版はビスタサイズレターボックス収録で画面が小さい(togetter)
『ダンケルク』額縁上映の通常の映画館では映画の50%をも堪能できない(togetter)


DCPの仕様


デジタル上映に使われるDCP(Digital Cinema Package)の仕様で、アスペクト比に応じて3つの収録サイズが定められています。この3つ以外の画面サイズの映画についてはピラーボックスもしくはレターボックスで収録されることになります。
出典:Digital Cinema Naming Convention(ISDCF)

■フルサイズ コンテナ Full Container (1.90:1)
業務用デジタル映写機で使われているDLP(SXRD)素子のピクセル数は2048 x 1080(4Kでは4096 x 2160)で、DLP素子をフルサイズで使用する仕様です。
ちなみにIMAXデジタルシアターのアスペクト比(1.90:1)はここから来ています。通常の映画館ではあまり使われないようです。


■ビスタサイズ(フラット) Flat (1.85:1)
ビスタサイズの映画で使われる仕様です。
例えば、スタンダード(1.33:1)サイズの映画では、フラットコンテナにピラーボックスで収録されます。またその際のDCPのファイル名には『F-133』というアスペクト比を示すファイル名を付けることになっています。


■シネマスコープサイズ Scope (2.39:1)
シネマスコープサイズの映画で使われる仕様です。
シネマスコープサイズ(2.66:1)の映画『聖衣 The Robe』 (1953)を収録するときには、スコープコンテナにレターボックス収録となりDCPのファイル名には『S-266』というアスペクト比を示すファイル名を付けることになっています


なぜこういう問題が発生するのか


映画制作者側の意向として出来るだけ高画質でDCPを作成したいという意図があります。(画素数は一般的な映画館で上映される2K解像度で計算しています)
フラットコンテナに(2.20:1)を収録したときの画素数 1998 X 908 = 1814184ピクセル(約181万画素)
スコープコンテナに(2.20:1)を収録したときの画素数 1888 X 858 = 1619904ピクセル(約162万画素)と、いうわけで、フラットコンテナとスコープコンテナを比較すると画素数で約11%の画質差が生じます。(仮にスコープコンテナで上映すると約11パーセント画質が悪い)
特に縦方向は50ピクセルの画質差が生じるわけで犠牲にするには惜しいサイズ差です。

出典:Deluxe Technicolor Digital Cinema http://digitalcinema.bydeluxe.com/site/dlxportal/docs/projectionistletter_dunkirk_usa_20170721_170358.pdf

画質優先で作成したフラットコンテナを映写機の調整によりシネスコスクリーンの上下幅いっぱいになるように高画質で上映するのが映画館の仕事ではないでしょうか。画像サイズ調整が面倒という理由でしないのであれば映画館失格だと思います。
洋画離れが言われていますが、デジタル上映になってからの手抜き上映で洋画ファンはシネコンに絶望して映画館ではなく自宅でブルーレイを見るようになったのではないでしょうか。


映画館に望むこと


最低限、額縁上映の場合は『額縁上映』とウェブサイトで告知してほしい。
特にダンケルクはトゥモローランドの時にあった『額縁上映』の告知すらしていないシネコンがほとんどで、シネコン側が告知する必要がないと考えているのであれば、映画を上映する資格無しだと思います。



額縁上映に限らず、投影サイズがピラーボックスになるのか、レターボックスになるのかスペック表を掲載してほしい。


出来ればスクリーンサイズ調整の実施を


ダンケルクはシネマイクスピアリ・塚口サンサン劇場・シネシティザート・フォーラム八戸・イオンシネマ茨木スクリーン7などでスクリーンサイズ調整して上映していました。やる気があれば出来るのですからスクリーンサイズ調整を実施してほしい。機器が対応していないのであれば6000万円かけてスピーカー購入する前に上映サイズが調整出来る映写機に買い換えるのが映画館のあるべき姿ではないでしょうか。



参考文献: ・Topic: Tomorrowland aspect ratio 1:2.20(Film-Tech Forum) ・Topic: DUNKIRK DCP 2.20:1 inside flat container?(Film-Tech Forum)




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